年頭のご挨拶

2024年1月4日

石川 肇

新年、あけましておめでとうございます。

年頭にあたり、ご挨拶をさせていただきます。

 

年明け元旦早々の能登半島地震と津波騒ぎ、一昨日の航空機の事故と、まったく突然で、なんとも言い難い大変なことの連続でしたが、皆さまにおかれましは如何でしたでしょうか?新年の挨拶も虚しく亡くなられた多くの方々には心からお悔やみ申し上げます。昨年は、世界的にコロナパンデミックは収まりつつあったものの、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナとイスラエル間の紛争など、世界情勢は不安定な状況下にあり、私たちにとっては、気が置けない毎日であったように思います。

 

リウマチセンターにおいては、一見コロナ対策から解放されたかのように思われましたが、ところが最近、様々な規制が緩和された今頃になって、コロナ患者が増えてきております。気を緩めることなく、初心に立ち戻って一人一人の感染予防に向けた心がけと努力が改めて必要になっています。

 

さて、年頭にあたりリウマチセンターのこれからの役割と方向性について、私の方からあらためて確認し、お話させていただきたいと思います。

 

まず、第一にリウマチ患者さんのために最適な最新治療とケアをこれまでどおり継続して提供していきます。現在、当院のリウマチ患者さんは3800名ほどで、全国の1医療機関あたりの実患者数ではトップ5に入っています。県内リウマチ患者さんの約4人に一人が通院しておられます。その方々に対して、大学病院や他の民間医療機関ではできない多職種連携によるチーム医療、トータルマネジメントを継続して行っていきます。医師および医療スタッフの方々一人一人が、その専門職を生かして、リウマチ医療に力を合わせて一緒に取り組む姿は、患者さんに安心と満足を与え、患者さんからの信頼が得られる医療サービスを提供することになります。

 

昨年、9月に日本リウマチの外科学会を朱鷺メッセで開催させていただきました。その時に招待したスイスの手外科医であるダニエルヘレン先生は、リウマチ患者さんへのこのようなアプローチは、欧米にはない日本式アプローチとしてとても感銘を受け、今年6月にオランダで開催される学会に欧州と日本の交換セッションを作っていただき、今度は私どもが招待されることになりました。

 

第二は、リウマチ専門病院として、その実績と経験を積み重ね、国内外に向けて情報発信と啓発活動を行っていきます。この3年間以上にわたりパソコンに向かって話すことばかりで、味気なく十分な活動ができないままでした。これからは、リウマチ患者さんにだけでなく、他の医療機関のスタッフの方々、地域住民に対して、講演会、研究会および市民公開講座などを通じて、啓発・情報発信活動をフェイスtoフェイスで積極的に復活してもらえたらと考えています。そして、より多くの方々から「もし、自分あるいは身内がリウマチという病気になったら、是非、新潟県立リウマチセンターで診てもらいたい。」とのお褒めのお言葉をいただけるようになってもらいたいと思います。

 

第三は、リウマチの学術研究、リサーチを推進していきます。医師だけでなく、多くのスタッフの皆さんに、リウマチに興味を持っていただき、自己研鑽を積み上げ、リサーチマインドを持って仕事をすることで、専門職としてのスキルアップ、レベルアップを図ってもらいたいと思います。但し、最近、取り沙汰されているハラスメント問題との兼ね合いで、この学術研究を自己研鑽ではなく100%労働と捉える方々には、決して求めることは致しませんので、よろしくお願いします。

 

そして最後に、入院患者さんの確保に努め、特に回復期リハビリ病棟を回復していくことです。リウマチのトータルマネジメトの4本柱のひとつにリハビリテーションがあります。経営面でリウマチ医療を支え、患者さんにリハビリマインドを持って接し、ケアを施していくうえで、リハビリ病棟を欠くことはできません。当センターならではのメリットを生かし、リハビリ医確保のためのリクルート活動は当然のことですが、新発田病院だけでなく近隣の医療機関からの紹介による回復期リハビリ対象患者を増やすよう努めてまいります。

 

今、私たちのリウマチセンターは、コロナ禍をはじめとしてさまざまな困難を乗り越えて、さらに変化していくステージにあります。瀬波病院時代から40年にわたって新潟県のリウマチ専門病院が、次の世代に引き継がれていくために、皆さん一人一人の力を集結して、新潟県内に留まることなく、日本国、さらに世界レベルで、一歩先を見据えた親切で優しいリウマチ医療の実践と啓発活動に、これからも積極的に押し進めていってもらいたいと思います。

 

まずは健康に留意して、1日1日を大切に、皆で一緒に頑張りましょう!

そして、1日でも早く、皆さん全員参加のノミニケーションできる日がくることを祈っております。

以上、私からの新年の挨拶とさせていただきます。